10/3「書く力を獲得するための『文学ワークショップ』」開催

10/3明日都浜大津市民活動センターにて第一回文学ワークショップを開催しました。新聞記事やネットのイベント案内をご覧になった方などご参加くださり、なごやかな雰囲気で密度の濃い時間を体験することができました。モデルとする形式がないオリジナルのプログラムだったため、進行役の私も幾分手探り気味だったのですが、参加してよかった!という感想をいただきほっとしているところです。
ワークショップの内容は、私が経験してきた実際的文章トレーニングを、そしてこれも私が幾度となく体験してきたグループワークのスタイルに移植したものです。実際に課題に取り組むときは皆一心に集中して用紙に向かい、部屋は物音ひとつない静寂となりました。しかし互いに分かち合う場面になると一転会場に笑いも響きます。間に休憩をはさみ、予定の3時間があっという間に過ぎました。
文章力は読書をベースにして、実際に「書く」鍛錬の蓄積量に比例します。とりわけ絵画のデッサンにあたる文章による描画の鍛錬は書く力の基礎を形成します。ですからワークショップを一日体験したら、都合よく文章力が飛躍的に伸びるというものではありません。しかし、ただ漫然とクセを修正しないままどれだけ書いても、きちんと伝えたいことを伝える文章を書くことはできません。また比喩の回路を自分の発想に定着させることや自分の文章を添削できる能力も開発せねばなりません。
そして何よりも、外界を自分がどのように受け止める傾向があるのかを知らないとちぐはぐで自己満足な文章になります。読み手と正確に言葉を共有するためには不可欠な作業です。書くことは自分を知る冒険でもあるのです。
今回は参加者の文章力のレベルがすでに高く、その上に書く力をさらに身につけたいという姿勢の方々ですから、互いに刺激し合いまた尊重し合う心地よい場が生まれました。遠方から参加の方も多く、参加に心から感謝しています。
たどたどしい進行の部分もあったかと思いますが、次回は文学ファシリテイターとして私も腕を上げて臨みたいと思っています。できれば月1回程度の間隔で開催してゆきたいと思います。(次回は11/8前後を予定。詳細は当サイトで)ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

参加者の方々から、感銘を受けた文学作品や著作本をお聞きしましたので付記しておきます。ご参考まで。
・西脇順三郎「天気」・井上理津子「さいごの色街飛田」「葬送の仕事師たち」・司馬遼太郎「坂の上の雲」「翔ぶがごとく」・遠藤周作「沈黙」・岡本太郎「沖縄文化論」・中沢新一「大阪アースダイバー」・石牟礼道子「苦界浄土」・吉本隆明「マチウ書試論」