ハナニアラシ

于武陵 「勧酒」
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
(井伏鱒二)

この詩を含んだ「厄除け詩集」を買ったのも17歳のとき。この、花に嵐のたとえ、という部分がわからず、久しぶりに行った学校でミシマ先生を捕まえて質問した。先生は于武陵の詩だとすぐに理解して、説明してくれた。花とは桜、満開の桜もあっという間に春の嵐に散ってしまう。美しい時間は一瞬に過ぎるということだよ。温和な顔でそう話してくれたのは甲南高校の廊下だ。

今日はまさに、花に嵐。
さよならだけが人生じゃない。
しかし、確かにこう口にしたいときもある。
さよならだけが人生だ。