六角獄舎の図面

六角獄舎の図面をようやく入手した。近代以前の獄舎については小伝馬町の獄舎の資料が多く残されている。但し、江戸の所在なので規模もひどく大きいし、各藩の獄舎についてはどうしてもわからない。せめて京都の六角獄舎ならばと思い探したがネットではその大きさすら分からず、ようやく掲載本をヤフオクで手に入れたという次第。
日本史に詳しい人であるなら様々その空気感を身に馴染むように知っているだろうが、私はそうではない。無知だ。特に関心のある事件や一連の騒動についてはそれなりにそこで生きた人の息遣いを感じることはできるが、それ以外はさっぱりだ。こうしてコツコツと資料に当たり思い馳せ続けて行くしかない。
先日東京で時間があったので神田の古書街を二日ゆっくり探索した。思わず声上げたいうれしい発見もあったが、それよりも本に触れると創作心が無性に刺激されるのがいい。しかし本人の思い入れとはまったく関わりなくこちらの予想に反する評価されるのが創作の常であるから、思いどおりになどならないと知っている。それでも、数打ちゃ、なのである。
上に書いた、江戸期獄舎を知りたい、近づきたいと思ったのも、そこに関わる或る立場の人について描きたいと思ったからだ。そこでかつて生きた人の倦怠、呻吟、愛情、自棄、憤懣に疑念や嫉妬。魂の軌跡を辿りたい。
今まではスルーしていたのに、これはとその本の背表紙に手を伸ばすのは、新しい自分への発見でもある。今回はフランス二月革命についての本に惹かれた。以前はフランス革命から一気にロシア革命まで関心は飛んでいたが、その間の王政打倒の市民蜂起、レミゼラブルの六月暴動から1848年の二月革命についてひどく知りたくなった。これは蜂起の主体に関心が湧いたのだ。その流れで、スペイン内戦についても興味が惹かれた。もちろんこちらはロシアコミュニズムではなく、サンジカリズム系アナキズムの系譜として。
知りたいことは山のようにある。いつも繰り返し思うのだが、時間がない。あと十年がいいところか。知ってそれを、なんとしても物語に結ばなければと思うのである。
ところで、フーコーの「監獄の誕生」がなんと¥2,000で売っていたし、文革を記録した66年岩波映画「夜明けの国」のDVDブックが格安で売っていた。購入しないで帰ったことを心底後悔。