「甘い生活」・・・

観た映画
▼フェリーニ「甘い生活」
ずっと観たいと思っていた。画面の洗練された端整な調和とシャープな退廃美は本当にコピーどおり。良かった。
▼パゾリーニ「デカメロン」
急にパゾリーニに関心が湧きビデオ屋を探すが、無い。そんな馬鹿なと思いながらようやくゲオで見つけたのがデカメロン。艶笑小話。明るい。もっとパゾリーニを観たい。関心を持ったきっかけは、同性愛恋人の少年に惨殺されたのではなく、実はネオナチに殺害されたらしいと知ってから。イタリア共産党、ファシズム、父子葛藤。興味深い。或る勢力にシンパ的な位置を保った思想家なら相当突き抜けてオリジナルな根拠に立っていて欲しいし、そうでなければリアルな政治組織に属しつつ無口に自身の行動を展開して欲しい。彼が性的インモラルを描いた動機に触れたい。梅田のツタヤにはパゾリーニコーナーがあるらしいので行かねば。
▼「武器よさらば」「キリマンジャロの雪」
ヘミングウェイ2作。「武器よさらば」は読んでいない。甘い甘いアルコール度数高い恋情もの。社会幻想(共同幻想)に対置され、そして超克するのは対幻想だというテーゼを思い出すが、その通りとはもう心は動かない。しかし、一人のために国を軍を捨てるのは真っ当だと思う。一人のために国の戦いに出るなどというありえない煽動にはうんざり。1932年の映画。
「誰がために鐘は鳴る」は以前少し見てやめた。恥ずかしい。学生時代、小説も映画もうっとりして見たのに。ゲリラの描き方からして恥ずかしい。
「キリマンジャロの雪」小説では主人公は最後死ぬのに、映画では回復を示唆して終わる。主人公が若く色男過ぎて、作家の破滅的なたたずまいが皆無。怒る気にはならないが、こんなもんかなあという映画化。
▼「周遊する蒸気船」1935
ジョンフォード。古き良きアメリカへの愛情あふれる作品とあったが、なるほどと思った。やはり宮崎駿を思い出す。見たかった「怒りの葡萄」を激安DVDセットで入手した。楽しみだ。
▼「のらくろ(ゴルフ狂時代)」「給料日」
チャップリン。アメリカに渡った後の短編が大好きで探していた。ちょうど3作476円の激安チャップリン短編集で見つけた。面白い。すごく面白い。最高だ。この辺りはあまりヒューマンな色彩はないので説教くさくもなく(あの説教くささもいいのだが)、ひたすらバカバカしくて面白い。ハイソ金持ちや官憲の尻蹴飛ばして逃げるのは浮浪者、酔っ払い、安給料でこき使われ、怖い奥さんにビクビクしながら朝帰り。場面場面が本当に斬新で痛快。あと作品集には「担え銃」「偽牧師」「サニーサイド」「1日の行楽」が収録。楽しみ。「サニーサイド」と「1日の行楽」はまだ一度も見たことがない。「偽牧師」は一番好きだ。ラストシーンが最高だ。ところで、基本僕はいつでも「偽××」だ。偽生徒、偽学生、偽活動家、偽調査官、偽プログラマ、偽過激派、偽カウンセラー〜〜。偽じゃなかったのは、かろうじて娘に対する父という役割くらいのもの。これがなかったら、偽人間になるところ。こういう男は作家になるほかないのだ。作家は自称するまでもなく、はなから偽物を生業とするから。