劇団 男魂(メンソウル)

「航路」という題は、実はシリーズ連作とするつもりでつけたタイトル。だからあの三部作そのものを「航路」と呼ぶとき、ちょっとした違和感が最初あった。少したいそうな気がして。
しかし人の口から「航路」となめらかに語られるのを聞くうちに、これはこれでいいのだなと思うようになった。

劇団男魂(メンソウル)の役者たちは凄い。それぞれがとても魅力的だ。一人一人を主人公にして物語を書きたくなる。かきたてられるものがある。
それは演技の技術や経験による力と同時に人間的な深みからうかがわれるものだ。その深みとはもちろん立派さやただの誠実さだけをいうのではない。二項対立を超えた文字通りの深みだ。変な日本語だが、浅さだって深さでもある。それが個性というものだし、その人の尊さだ。嫌悪や欺瞞をも包含する途方もない地平のことだ。

「航路」初日を見たある人の感想を伝え聞いた。とてもうれしく思ったし、劇団に対するその高評価は意外でもなんでもなかった。もし俳優陣の魅力がわからないなら、てめえの目は節穴かってことだ。
僕も早く「航路」を体験し、目撃したい。